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リヒテンシュタインで実質的に絶対君主制が存続している理由は以下の2点に由来すると考えられる。
1.リヒテンシュタイン家が富裕であり、国庫からの歳費収入に依存していないこと
歳費を必要としていないということは議会・政府側が有力な交渉上の切り札(「歳費の支給を停止する・増額する」など)を有していないということになる。また、移入君主であるリヒテンシュタイン家の家産はハプスブルク家(ハプスブルク=ロートリンゲン家)の重臣としてウィーンなどにおいて蓄積されたものであり同家の私有財産でしかなく、リヒテンシュタイン侯国とは無関係である。このため、議会・政府側は家産を収公するための大義名分(「もとをただせば国民の物」など)を持っていない。また家産の大部分が国外にある現状では、リヒテンシュタイン政府が国有化宣言等を行ったとしても実効性を確保できない。
ちなみにリヒテンシュタイン家が国外に所有する私有地の面積の合計は、リヒテンシュタイン侯国の国土を軽く凌ぐものである。もちろん地価総額もリヒテンシュタイン家の私有地の方が遥かに高額である。同家の資産総額は約30億ユーロ(約4800億円)とされる<ref>2007年10月13日 ベルギー紙ラーツテ・ニュースによる http://www.jiji.com/jc/zc?key=%b2%a4%bd%a3%a1%a1%ba%c7%c9%cf&k=200709/2007091500094(http://www.jiji.com/jc/zc?key=%b2%a4%bd%a3%a1%a1%ba%c7%c9%cf&k=200709/2007091500094) </ref>。そして1990年代以降、リヒテンシュタイン家は歳費を返上しており、経済的に完全に自立してしまっている。
2.1930年代のナチズムの台頭に対し君主大権を行使しこれを防いだこと
ドイツでのナチスの躍進にともなって公国内でもナチス支持者が増加し、次回総選挙では多数の当選者が出ることが予測されていた。この危機に対してフランツ・ヨーゼフ2世は君主大権によって総選挙を無期延期とし、ナチスの勢力拡大を防いだ。この時総選挙が延期されずに実施されていたならば、リヒテンシュタイン公国はナチス・ドイツへの併合あるいは枢軸陣営での参戦などという事態となり、第二次世界大戦の惨禍をまともに受けていたと考えられている。リヒテンシュタイン家ではこの間の経緯について「君主大権の行使により国難を未然に回避した」と自負しているようであり、君主大権を保持し続けることの正当性を示していると考えているらしい。