ランキングモンスター
3.背景
この事件では、表現の自由と、住居の平穏(住居内の安息と平和)又は居住権(他人の立入りを認めるか否かの自由)とが対立する。つまり、ビラを投函することによって政治的意見を表明する行為が表現の自由により保障されている一方、官舎の入居者が被告人らの立入りを拒んでいることから、どちらを優先させるべきか、という観点が有罪無罪の結論に影響している(後者については、住居侵入罪の保護法益を参照)。
なお、最高裁は憲法21条1項との関係の中で「表現の自由は、民主主義社会の中で特に重要な権利として尊重されなければならず」「政治的意見を記載したビラの配布は、表現の自由の行使ということができる」と認めたうえで、憲法21条1項も絶対無制限に保障される権利ではなくたとえ表現の自由を行使するためでも「このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。」としており、表現の自由より住居の平穏や居住権を優先させたものの、両方の立場に配慮したような判断を示している。
また、政治的主張の内容、又はその主張をする者の属性を理由として殊更に逮捕・起訴されたのではないか、という疑念が生じ、これも論争の背景となっている。例えば、問題となった官舎では商業的宣伝ビラ(飲食店のチラシなど)も日常的に投函されているが、これらについて起訴されたものはない(第一審参照)。それにもかかわらず本件が起訴されていることに着目して、そのような主張がされているのである。
(出典:Wikipedia)