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被告人らが立ち入った共用部分は「住居」ではなく「人の看守する邸宅」に該当するとしている点が第一審とは異なるが、住居侵入罪に該当する(構成要件に該当する)と判断している点は形式的には変わらない。その上で、第一審判決は処罰すべきほどの違法性はない(可罰的違法性がない)として住居侵入罪の成立を否定したが、控訴審は、そうした違法性も認められるとして住居侵入罪の成立を認めた(有罪とした)。
まず、「政治的意見の表明という正当な動機に基づいている」という第一審の判断について、被告人らの行為が表現の自由により保護されるべきものであること、及び、表現の自由が尊重されるべきことは認めている。しかし、表現の自由を理由に他人の権利の侵害が直ちに許されるものではなく、「何人も、他人が管理する場所に無断で侵入して勝手に自己の政治的意見等を発表する権利はない」から、被告人らを住居侵入罪で処罰しても表現の自由を保障した憲法21条1項に反するものではないとした。
更に、被告人らによる立入りの態様(ビラの配り方)について、第一審は「相当性の範囲を逸脱したものとはいえない」としていたが、控訴審はこれを否定した。プライバシー侵害の程度が低いことは否定しなかったものの、過去に行われていた立ち入り禁止の警告を無視し、またビラ投函の際にも対面で入居者から抗議を受けていながら後日再びビラの投函に及んでいることから、その行為が居住者の日常生活に実害をもたらさない穏当なものとは言えず、入居者等の反対を押切って敢行されたものではないともいえない、ということを根拠としている。また、被告人らのビラ投函によって生じた法益侵害の程度が極めて軽微であるとした第一審の判断も否定されている。控訴審は、ビラ投函によって、入居者らが「軽微」とはいえない不安・不快感を抱いたからこそ、立ち入り禁止の掲示等各種の対策がとられたのだと指摘する。