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死刑-抑止効果について調べるならランキング★モンスターで簡単チェック!!
3.死刑制度の目的
3.2.抑止効果

個別の刑罰の抑止効果は、死刑、終身刑およびほかの懲役刑も含めて、統計上効果が実証されていない。一般論として、死刑反対派は「死刑による犯罪抑止効果の統計的証拠がないこと」、死刑賛成派は「死刑代替終身刑による威嚇効果が十分でないこと」を指摘する。抑止効果の分析方法には地域比較と歴史的比較がある。地域比較では国や州の制度の違いによって比較が行われる。

地域比較としては、アメリカの死刑制度の無い州に比べて死刑制度のある州の凶悪犯罪発生率は統計的に高い。反対派はこれは抑止効果の不在とし、賛成派はこれは高い犯罪率に対する州政府の対応の結果であると主張する。主要工業国(先進国・準先進国)で死刑を実施している国としては、日本、アメリカ、シンガポール、台湾などがあるが、アメリカでの犯罪率が高く他国は犯罪率が低いという事情もあり、国家や州の比較、すなわち地域比較そのものに意味がないとの指摘もある。

時代的比較では、死刑が廃止された国での廃止前・廃止後を比較する試みがされる。しかし様々な制度や文化、教育、経済など様々な社会環境の変化も伴うため、分析者によってさまざまな結論が導き出されており、それだけを取り出して検討するのは困難である。ただし現段階においては、廃止後に劇的に犯罪が増加・凶悪化した典型的ケースはこれまでにはなく、また劇的に犯罪が減少したケースもない(ちなみにイギリスでは1969年の廃止以降、IRAのテロが多発したりした為か保守党などから数度死刑復活案が唱えられた)。

精神状態が健常な死刑囚に聞き取りを行った際に、ほとんどの者が死刑に多少なりとも恐怖を感じていると告白しているため、一般的に死刑囚個人に対しては威嚇効果があると思われる。なお死刑という制度自体が犯罪の抑止効果があるかは前述でも述べられている通り不明である。

「死刑制度があることで犯罪者が死刑の存在を自覚することになり、死刑適用犯罪の抑止に繋がる」との主張は根強いものがある。例えば、鳩山邦夫2007年8月29日NHKインタビューで語ったところによれば「これはやっぱり犯罪の未然防止ですよ。ひっどい凶悪な事件を起こせば、自分の命が絶たれる、死刑というものがある、その死刑が執行される。ということがあるから思いとどまる。だから私は死刑は廃止してはならないし、死刑執行も停止してはならないと思います。それは安全な世の中を作る為の第一歩ですよ」として犯罪者に対する威嚇効果が期待できると主張しており、法の秩序維持のためには死刑の威嚇力はまだまだ有効であるというような趣旨の主張をしている。

事実、個別の事件を見ると、犯罪者が死刑の存在を意識することで、死刑が適用されるような凶悪な次の犯罪を躊躇したりする場合が無いわけではない。そのため、死刑制度の存在が新たな犯罪の発生と事件の解決に繋がるとの見方も当然できる。また日本の刑法では捜査機関が認知していない犯罪行為を告知する自首した犯罪者に対し、刑事罰を軽減もしくは免除する規定があり、死刑になるような犯罪でも裁判所が「自首」を認定すれば、刑が減刑される場合もある。一方で、この自首制度に対し、一方ではたとえ凶悪な犯罪を犯したものであっても捜査機関に協力し「自首」が認定<ref>地下鉄サリン事件の実行犯及び首謀者の麻原彰晃(本名:松本智津夫)は逃亡者2名を除く全員が死刑を求刑されたが、真実を明らかにするのに協力したとして林郁夫だけが無期懲役に減刑されている。</ref>されれば、減刑されるため一種の司法取引との批判もある。またアメリカ合衆国では死刑判決が確実な犯罪であっても、犯罪事実を認めれば司法取引によって「終身刑」に減刑されているという実例もある(恩赦がその代表的な例)。

犯罪者に対する抑止力に有効との主張に対し、精神科医作家加賀乙彦は著書『死刑囚と無期囚の心理』の中で、確定死刑囚44人を調査した結果、犯行前や犯行中に自分が犯している殺人行為によって死刑になるかどうかを考えた者はいなかったという。また、犯行後に死刑を回避するため目撃者さえ殺害したものまでいたため、無我夢中に殺人をしたものに対する犯罪抑止力は殆ど期待できないとしている。ただし、死刑の可能性を考慮して殺人行為を思い止まった者は、当然、死刑囚にはならないので、死刑の抑止力が働かなかった者だけを例にあげて死刑の抑止力がないと主張するのは詭弁であるとの批判もある。

しかしながら、附属池田小事件を引き起こし死刑が執行された宅間守のように動機が「死にたいから、死刑になるために事件を引き起こした」といった者や、ピアノ殺人事件のように、死にたいがために殺人を犯した者については、威嚇効果は全く無いと主張する者もいる。このような動機による殺人を「拡大自殺」と呼ばれる。実際にこのような犯行を犯したものは僅かであるが、いずれも死刑判決を確実にするために大量殺人を意図する場合が多い。

また抑止効果であるが自分自身の生命すら省みない自暴自棄な者や、殺人による快楽のみを追い求める自己中心的な、いわゆる「シリアルキラー」には抑止力が働かない可能性が高い。実際に後述のように自ら贖罪の為ではなく現世からの逃避のために死刑に自らなるもの少なからず存在する為である。宮本倫好の『死刑の大国アメリカ』(亜紀書房刊)によれば、アメリカでは死刑制度のある州でわざわざ無差別に殺人を犯すケースがいくつも存在するほか、死刑廃止州で終身刑で服役している囚人が死刑存置州で引き起こした殺人事件を告白し、自ら望んで死刑になるものも少なくないという。例えば、死刑制度のないミシガン州から死刑存置州のイリノイ州に転居して8人を殺害したリチャード・スペックや、死刑廃止州のミネソタ州と死刑存置州のアイオワ州の双方で殺人を犯したチャールズ・ケリーチャールズ・ブラウンはいずれもアイオワ州で裁判を希望して死刑を受け入れたという。また、死刑執行直前になってもアルバート・フィッシュは「最高のスリル」と待望していたとの説があるが、彼のようなシリアルキラーは他人の生命ばかりか自身の生命の保持すら関心がないので、死刑になることを恐れないなど、自己保身のために犯行を躊躇することはない。死刑の威嚇効果が期待できないとの指摘もある(死刑廃止論者にはこの懸念を一方的に持ち出すケースがある)。

またそのような者達の死刑願望からの犯罪を防ぐことを理由に死刑制度廃止を唱えることに懐疑的な意見<ref name="mainichi">死刑になりたい:なぜ?凶悪事件、犯行動機で供述(下)毎日新聞2008年5月28日配信。</ref>もある。

以上のことから死刑の威嚇力とは、「凶悪な手段で人を殺せば死刑になる場合もありえる」との通常の判断力を持つ一般市民には有効であるが、死刑になるような事件を引き起こす凶悪犯罪者に対しては、一部とはいえ抑止力が無力である場合も存在し、なかには自身の破滅願望を実現する手段として悪用される場合すらある。このように死刑制度を自らの破滅願望実現の手段に悪用する、一部の犯罪者に対して死刑の威嚇力を逆に悪用している犯罪も現実に存在している。当然のことであるが、このような自分から望んで死刑になった者にとって、死を待望したわけであり刑罰とはならないといえる。そのため、死刑に関する情報公開によって、罪と罰について啓発する必要性を説くものもいる<ref name="mainichi"/>。

(出典:Wikipedia)

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