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死刑はかつては刑罰の中心をなし、種類も多様で残忍なものが多かった。火焙り(焚殺=ふんさつ)、溺殺、圧殺、生き埋め、磔(はりつけ)、斬首(ざんしゅ)、毒殺、八つ裂き、車裂(くるまざき)他さまざまなものがあったが、現在では絞首、銃殺、電気殺、ガス殺、注射殺(毒殺)が比較的肉体的苦痛の少ない刑罰としてみとめられ、存在する。刑罰の歴史上では文明化と共に死刑を制限することが顕著である<ref>川端博『刑法総論講義』成文堂 660頁。</ref>。
死刑は、身体刑と並び、前近代(おおむね18世紀以前)には一般的な刑罰であった。人類の刑罰史上最も古くからある刑罰であるといわれ、有史以前に人類社会が形成された頃からあったとされる<ref>斎藤静敬『刑事政策』創成社 79頁。</ref>。また、「死刑」という刑罰でなくとも、多くの「死に至る(ことが多い)刑罰」も用いられていた。
威嚇効果、すなわちみせしめの手段であったため、公開処刑が古今東西世界各国で行われていた。また刑罰として車裂き、鋸挽き、釜茹、火刑、溺死刑、石打ちなど、その執行方法は多種に及んだ。刑罰として死刑が適用される犯罪行為も窃盗や偽証といった人命を奪わない罪状にも適用されたほか、叛乱の首謀者といった政治犯に対するものにも適用された。また社会規範を破った事に対する制裁として、適用される場合もあった。たとえば、中世ヨーロッパでは姦通を犯した既婚者女性は原則的に溺死刑に処せられていた<ref>ただし、現在でもイスラム法を重要視している国では不倫や婚前前性交渉を理由に死刑になる場合も存在する。</ref>。
為政者による宗教弾圧の手段として用いられたこともあり、ローマ帝国時代のキリスト教徒迫害や、日本の江戸時代には長崎で行われたキリスト教徒26人に対する処刑のようにキリシタンの処刑が多数行われていた。一方宗教者たちによって、魔女裁判のように宗教裁判によって、教会によって死に追いやられた人々も多かった。
その後、罪刑法定主義によって処罰される犯罪行為が規定され、それに反した場合に限り刑罰を受けるというように限定された。そのため、どのような犯罪行為に死刑が適用されるかが、あらかじめ予告されるようになった。また18世紀頃から身体を拘束・拘禁する自由刑が一般化し、死刑は「重犯罪向けの特殊な刑罰」という性格を帯びるようになった。また死刑の方法もみせしめ効果を狙った残虐なものから絞首刑など単一化されるようになった。
20世紀中期以降は、死刑を存置する国家では概ね他人の生命を奪う犯罪のうち、特に凶悪な犯罪者に対し死刑が適用される傾向がある。また、戦時犯罪は死刑を容認している国も少なくなく、軍隊からの脱走兵や、スパイ行為といった利敵行為などに対して適用される場合がある。
21世紀になっても、国によっては重大な経済犯罪・麻薬密売・児童人身売買といった直接に他人の生命を侵害するわけではない犯罪にも死刑が適用されることがあるほか、一部国家<ref>北朝鮮に関する報道による。</ref>では、窃盗犯であっても裁判によらず即決で公開処刑される事例が存在する。