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日本航空優位に経営統合が進む中で、ほぼ全ての業務システムやマニュアルが日本航空のものに変更された。そのため、旧日本航空出身者にとっては基本的に現状維持だった一方、旧日本エアシステムの社員は一からそれを学ばなければいけなくなった。この過程で、国内線、国際線、貨物の各事業のいたるところでトラブルが発生した。これら度重なるトラブルを通じて、旧日本航空・旧日本エアシステム両社の顔を立てながら、日本航空側への業務移管を性急かつ強引に行おうとしているという構造的問題が露呈した。
2003年4月1日からスタートした日本航空便と日本エアシステム便の統合では、日本エアシステムから商号変更し国内線を担当することになった日本航空ジャパンの運航となった東京~広島線などの路線では旧日本航空が設置していたボーイング747・777対応のトーイングカーなど地上機材が撤去された。そのため、最大でもエアバスA300での運航となり、輸送力が大きくダウンするという弊害を引き起こした。
日本エアシステムは莫大な債務を抱えていたが、客室乗務員やパイロットなど一部の職種の給与水準は日本航空を含む競合他社に比べ高かった。経営統合後、日本航空と同じ給与水準に下げられる方針が打ち出され、これに対して労働組合を中心に頑強に抵抗した。
また、総合職社員の多くがリストラ対象となり、あえて遠隔地へのいわゆる“いやがらせ転勤”をさせられたという話もある。例えば、本社の管理職であり、関西の社員が持家を所有しているのを分かっていながら北海道や沖縄に、また北海道の社員は逆に関西へと転勤を命ぜられ、またそれらの移動先が本社の社員さえ知らない無名の関連子会社・下請け会社への異動だった、等である。東証一部上場の会社規模であればよくある話ではあるが、尤もこれが罷り通っている会社は、所謂ブラック企業と呼ばれる。なお、給与一元化が実現しないことについては、社内外、特に株主から大きな批判を呼んでおり、現在も客室乗務員の給与は一元化していない。
経営統合により期待されたリストラやコスト削減は遅々として進まず、前述のような旧日本エアシステム社員や彼らの所属する労働組合の抵抗、旧日本航空経営陣の怠慢といった社員間不協和音が発生し、それは営業トラブルが積み重なる形となって「JALブランド」は失墜へと発展していった。乗客が減少し、全ての社員の給与が10%カットされる結果となった。旧日本航空の社員の中だけでなく株主からも、「赤字会社を巨大な債務とともに吸収する必要があったのか」、「なぜ吸収合併された側のリストラが進まないのか」との疑問の声が上がり、「再度分割案までありうる」と週刊誌などでは揶揄されていた。2006年10月に名実ともに吸収合併が行われた今、「JALブランド」の信頼回復も含め、抜本的な経営建て直しを行っている。
10月の完全一社化に伴い、急速な旧日本エアシステム社員の退職が進んでいる。その方法として上記の「いやがらせ転勤」の他、「今退職すれば通常以上の退職金を与える。もし退職しなければ異動を命ずる。」という方法も取られている。そのため、旧日本エアシステム社員の早期退職は一層加速している。