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6.北朝鮮核問題への各国の反応
6.2.アメリカ合衆国
- 政治潮流
- 全般的傾向としては反共的な共和党と容共的・孤立主義的な民主党の二大政党制。安保政策的には共和党は西側同盟国を米国の外郭防衛線として軍事的に支援する立場なのに対して、民主党は基本的に東側諸国との対話路線であって軍事的には「同盟国は自分の国は自分で守れ」という孤立主義的傾向の強い政党である。しかし、ビル・クリントン政権(民主党)で北朝鮮核施設空爆を主張したペリー国防長官(当時)のような右よりの民主党関係者や、北朝鮮に宥和的で日韓への支援を絞るコンドリーザ・ライス国務長官のような左よりの共和党関係者もいるので一概には言えない。
- 政府内では、当然のことながら国防総省は北朝鮮の核兵器生産設備の空爆破壊などの強制解体を、国務省は話し合いと合意による北朝鮮自身の手による核兵器生産設備と核兵器の自主解体を主張する傾向にある
- 2006年北朝鮮核実験直後の共和党と民主党の非難合戦
- 共和党の見解:1994年にビル・クリントン大統領が北朝鮮の核施設を空爆破壊していれば、北朝鮮の経済力では再建は困難であったはずだった。しかしビル・クリントンは北朝鮮に騙されて1994年の枠組み合意で核施設を空爆破壊する機会を失った挙句、北朝鮮は枠組み合意を無視して、凍結した原子炉を2002年に再稼動をはじめて、2006年の核実験を招いている。再度、北朝鮮と約束をしても破られるだけなので北朝鮮との二国間協議はすべきではなく、北朝鮮の保証人として中国・ロシアも臨席させて、北朝鮮が合意を破った場合、中国・ロシアに安保理武力制裁決議に同意させる布石にしなければ意味はないので6者協議で解決すべき。
- 民主党の見解:北朝鮮は2002年まで枠組み合意を守る意志を見せていたのに、共和党ブッシュ大統領がウラン濃縮機材輸入で北朝鮮を責め立てすぎたのと、北朝鮮・イラクなどを悪の枢軸などと呼んだ挙句、イラクを占領したせいで、北朝鮮は対米自衛の必要性を感じ核武装のために枠組み合意を破ったので、共和党ブッシュ政権に全責任がある。その後もブッシュ政権は北朝鮮との二国間交渉を拒否したため対話ができなかった。二国間交渉に応じて対話すれば北朝鮮は核武装放棄に応じるのにブッシュが流れを止めているので、ビル・クリントン政権の対話路線に誤りはなかった。
- 共和党ジョージ・W・ブッシュ政権の方向転換
- 下記の要因により2007年2月に共和党ブッシュ政権はコンドリーザ・ライス国務長官主導で対北朝鮮宥和政策に大きく舵を切った。
- 2006年秋の米中間選挙でイラク戦争への厭戦感情から民主党が米議会上下両院で多数派を占めた。
- 右派であり対北朝鮮強硬派でもあるラムズフェルド国防長官・ボルトン国連大使などが民主党の圧力で政権から追われ、宥和的なコンドリーザ・ライス国務長官が発言力を増した。
- 2007年1月時点でペリー元国防長官が「核施設空爆の必要性」について議会証言し、米国防総省は韓国にF-117,沖縄嘉手納基地にF-22ステルス攻撃機/戦闘機を配置して核施設空爆破壊も可能なように武力行使準備を整えた。それを見た北朝鮮側は2月に空爆阻止のため態度を軟化させ「一部核施設の無力化について米国と合意する用意がある」旨を示唆した。そのため(1994年のような偽りの合意であるかどうかは別として)話し合いによる核計画廃棄の合意を結ぶこと自体は可能となった。
- イラク戦に疲れた米国民の声を背景に、議会多数派の民主党は北朝鮮核問題の「話し合いによる解決」を望んでいた。
- ジョージ・W・ブッシュ政権内の強硬派と国防総省は空爆を主張したが、下記の点で話し合い合意を主張する国務省側に対抗できなかった
- 1)北朝鮮の黒鉛炉と再処理施設を空爆すれば北朝鮮のプルトニウム原爆計画は挫折する。しかし、ウラン濃縮施設は地下に作りやすく原子炉のように大量の赤外線を放射するわけでもないから米国の偵察衛星をもってしても発見は困難で、現状は米国は北朝鮮のウラン原爆計画や施設所在地も把握していない。したがって、プルトニウム生産施設を空爆破壊したとして、怒った北朝鮮がウラン原爆の生産を始めても、米国は北朝鮮のウラン濃縮施設を空爆破壊できない。だから今は北朝鮮のウラン濃縮施設の所在地をIAEAに自己申告させることが先決である。
- 2)イラクへの兵力一時増派などを議会多数派の民主党に飲ませるためには、(2007年合意が1994年合意のようにいずれ裏切られる偽りの合意という結果に終わっても)民主党と米世論の希望を飲み、北朝鮮核問題を話し合い解決した形にする必要がある。
- 3)北朝鮮の核兵器生産施設を攻撃破壊するに際して、最も懸念すべき事態は、空爆に来た米軍機を北朝鮮のレーダーが捉え、北朝鮮側同盟国中国空軍の戦闘機を呼んで、北朝鮮上空で米中の空戦になってしまうことである。ただしこの偶発的米中空戦の危険は米空軍がレーダーに映りにくいステルス機で北朝鮮の核施設を空爆するか、巡航ミサイルで核施設を破壊すれば回避できると国防総省は主張している。しかしながらその方法で北朝鮮の核兵器生産施設を破壊したとしても、北朝鮮がソウルへの報復砲撃や東京へのミサイル攻撃という報復にでた場合、米国は責任を取れない。ブッシュ政権が仮に「将来北朝鮮が韓国を核恫喝によって併合して、韓国が滅亡する危険」を回避するために韓国への善意から北朝鮮の核生産施設を空爆したとしても、北朝鮮が報復にソウルを砲撃すれば盧武鉉政権はブッシュ政権を逆恨みするであろうし、米民主党はブッシュ政権を非難するであろうから、北朝鮮の核生産施設を空爆破壊する事は軍事的にはいずれ必要なことであっても、日韓の側から要請されないのにジョージ・W・ブッシュ政権がそれをやることは、ブッシュ政権にとっては致命的な貧乏くじになってしまう。
- 4)ジョージ・W・ブッシュ政権からすれば、ソウルへの報復砲撃を招いて国内外で叩かれる火中の栗を拾ってまで、北朝鮮の核施設を空爆破壊するより、(たとえ北朝鮮の意図が空爆回避のための口先の無力化合意であって、核施設廃棄するつもりなどなく、次期米大統領になったら2002年がそうであったように核施設を再稼動するであろうと予測しているにしても)自分の代では一旦解決したことにして、次期大統領に問題を先送りしたほうがジョージ・W・ブッシュ氏自身の保身には有利である。ましてや、共和党からみれば北朝鮮に騙されて核問題の原因をつくったビル・クリントンの妻であるヒラリー・クリントンが次期大統領の最有力候補という2007年の現状なら共和党支持者から見れば尚更「ビルが北朝鮮に騙された後始末はヒラリーにやらせろ。」と言うことになる。
- 5)北朝鮮の核開発・ミサイル開発の資金の出もとの大部分が後述するように日本と韓国なので、米国から見れば日韓が金を出して北朝鮮が作った核兵器で日韓が北朝鮮から核攻撃されても、日韓の自業自得である。
- 下記の要因により2007年2月に共和党ブッシュ政権はコンドリーザ・ライス国務長官主導で対北朝鮮宥和政策に大きく舵を切った。
(出典:Wikipedia)
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