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5.資金調達
5.5.新株発行(増資)

会社設立後、新たに株式を発行して資金を調達することを、新株発行という(実務では「増資」ともいう)。

新株発行の方法には、誰に株式を割り当てるかによって、(1)既存株主に、持株数に応じて募集株式の割当てを受ける権利を与える株主割当て、(2)既存株主を含め、一般に引受人を募集する公募、(3)特定の第三者に株式を割り当てる第三者割当ての3種類ある。第三者割当増資は、資金調達のためよりも、業務提携や企業買収、又は買収対抗策などの手段として用いられることが多い<ref>吉原ほか (2004: 21-24)。</ref>。

株主割当ての場合は、既存株主の持株比率も、株式の経済的価値も影響を受けないが、公募又は第三者割当ての場合には、次の2点で株式の希薄化 (dilution) が起こり、既存株主の不利益となる可能性がある<ref>神田 (2009: 126-27)、吉原ほか (2004: 20)、Kraakman et al. (2004: 146)。</ref>。

株主割当て以外の新株発行では、既存株主は、自ら割当てを受けない限り持株比率が低下する。特に人的つながりの強い閉鎖会社では、持株比率が株主自身の役員としての地位と結び付いている場合が多く、不利益が大きい上、市場で株式を取得して持株比率を維持することもできないため、持株比率の保護は重要な意味を持つ<ref>吉原ほか (2004: 21)。</ref>。
株主割当ての場合は、新株の発行価格がいくらであっても既存株主の経済的利益には影響がないが、株主割当て以外の場合は、株式の本来の価値よりも低い価額で新株が発行されると(有利発行)、1株当たりの経済的価値が下落し、既存株主の不利益となる<ref>神田 (2009: 127)。</ref>。

そのため、各国で、以下のように既存株主の利益を守るための手続規制が設けられている<ref>参照:神田 (2009: 127-28)。</ref>。

株主総会の承認
上記のとおり新株発行は既存株主の利益に影響を及ぼすため、各国とも、新株発行には何らかの形で株主総会の承認を要することとしているが、他方で、市場の状況等に応じた機動的な資金調達を行う必要性もある<ref>Kraakman et al. (2004: 146)、神田 (2009: 124)。</ref>。
日本の公開会社及びアメリカでは、定款で発行が認められた発行可能株式総数(授権株式数)の範囲内で、取締役会の判断で発行条件を定め、新株を発行することができる((2項。</ref>。
一方、フランスやドイツの公開会社(SAやAG)では、株主総会が新株発行を事前に承認することも認められているものの、取締役会の裁量はより限定されている。EU法は、株主総会での承認から実際の発行までの期間を原則として5年以内に制限している<ref>Kraakman et al. (2004: 145)。</ref>。
新株引受権の付与
既存株主の持株比率が低下しないよう、一定の場合には既存株主に新株引受権 (preemptive right) が与えられる。日本では、非公開会社については新株引受権を与える株主割当てが原則であり、第三者割当て等には株主総会の特別決議が必要である<ref>神田 (2009: 133)。)。</ref>。ドイツの非公開会社でも、既存株主に新株引受権を与えなければならないとされており、フランスの非公開会社では、定款に定めがある場合に限り、新株引受権が与えられる。一方、公開会社については、ヨーロッパ各国は新株引受権の付与を法定し、これを放棄するには株主総会の特別決議が必要としている。アメリカでは、公開会社・閉鎖会社ともに、定款に定めがある場合に限り、新株引受権が与えられる<ref>Kraakman et al. (2004: 148)。</ref>。
有利発行規制
日本では、株主割当て以外の方法で有利発行を行う場合(募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合)には、取締役はその必要性を株主総会で説明した上で、株主総会の特別決議を得なければならない<ref>神田 (2009: 135)、1項参照。</ref>。
(出典:Wikipedia)

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