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横井の哲学に、「枯れた技術の水平思考」という言葉がある。
ここでいう「枯れた技術」とは、「すでに広く使用されてメリット・デメリットが明らかになっている技術」のことで、これを利用すると開発コストを低く抑えることができる。「水平思考」( 提唱)とは、今までなかった使い道を考えるということである。「ゲーム作りは面白ければよく、ハイテクが必要なわけではない。むしろ高価なハイテクは商品開発の邪魔になる。そのためにごくありふれた技術を使い、それをまるで違う目的に使うことによってヒット商品というものは生まれるのではないか」という考えである。
ゲーム&ウオッチはこの思想に則って開発された。当時激しいシェア拡大を競っていたシャープとカシオの「電卓戦争」の余波で小型の液晶画面と半導体の生産設備は過剰になっていた。横井はそれを遊びに応用したのである。この成功例はゲーム機開発の手法に於いてひとつの模範となり、横井が手がけたゲームボーイやファミコン、スーパーファミコンもこの方式で作られていった。
しかし、ゲーム市場が大きくなるにつれ、1990年代からのゲーム機はその思想を大きく変えた。中核となるCPUなどの半導体がパソコン等の他分野で使い古され生産コストが下がるのを待たずに、最初から高性能で高価な半導体を採用する。そして、当初の損失は覚悟してゲーム機として妥当な価格で販売し、普及による量産効果と生産効率の向上を相乗させて徐々にコストダウンする。やがてコストが価格を下回れば、その後は初期販売分のコストを回収し利益を上げていくという、製品のライフサイクルを通しての価格設定へと変化していった。このため、ゲーム機が商品として当たればソフトウエアベンダーからのロイヤリティと合わせて利益を得られるものの、普及に失敗した場合は大きな損失を被ることになる。そしてゲームも、より早い演算速度とより大きな記憶容量を駆使するものへと変貌していく過程で、この横井の哲学は過去の考えと成りつつあった。
だがこの哲学はその後も任天堂の開発方針として息づいていくこととなる。上記のとおり横井開発の初代『ゲームボーイ』は『ポケットモンスター』の大ブーム間近はゲームハード高性能化の波に飲まれてほとんど注目されないものとなっていたが、『ポケモン』によって思わぬ息の吹き返しを見せてその後5年近くも現役となり、横井の哲学の有効性を再認識させることとなった。
近年、携帯ゲーム機において、性能で上回る『プレイステーション・ポータブル』を『ニンテンドーDS』が販売台数で大きく上回り、『Touch! Generations』のような、従来にはなかったようなソフトが今までゲームを遊ばなかった層にも認知され、ゲーム市場の拡大に成功し大ヒットした。同じくXbox 360やPS3に性能で劣るWiiは、新しいコントローラーを導入しゲームプレイの差別化を行うなど、スペックに頼らない「操作性」の変革で対抗しようとして注目を集めている。岩田聡はこの言葉を引用し現在の戦略がその伝統に則ったものであると言及した<ref>以下の外部リンク先を参照。PC Watch「後藤弘茂のWeekly海外ニュース 任天堂 岩田聡社長インタビュー(1) マンマシンインターフェイスを直感的にすることがカギ」</ref>。
また、20世紀末~現在における経営学の概念ではパラダイム・シフトであり、横井は当概念の先駆者として評価される。
==作品==
- ウルトラハンド (1966年 玩具)<ref name="saku">隔月刊 ゲーム批評1月号Vol.18 「追悼企画 横井軍平の時代を振り返る・横井軍平作品集」より。</ref>
- ウルトラマシン (1968年 玩具)<ref name="saku"/>
- ラブテスター (1969年 玩具)<ref name="saku"/>
- 光線銃SP (1970年 玩具)<ref name="saku"/>
- NBブロック クレーター (1970年 玩具)<ref name="saku"/>
- エレコンガ (1970年 玩具)<ref name="saku"/>
- ウルトラスコープ (1971年 玩具)<ref name="saku"/>
- 光線電話LT (1971年 玩具)<ref name="saku"/>
- レフティRX (1972年 玩具)<ref name="saku"/>
- タイムショック (1973年 玩具)<ref name="saku"/>
- レーザークレー (1973年 業務用)<ref name="saku"/>
- ワイルドガンマン (1974年 業務用玩具)<ref name="saku"/>
- シューティングトレーナー (1974年 業務用)<ref name="saku"/>
- ファッシネーション (1974年 業務用)<ref name="saku"/>
- 光線銃カスタム (1976年 玩具)<ref name="saku"/>
- バトルシャーク (1977年 業務用)<ref name="saku"/>
- スカイホーク (1977年 業務用)<ref name="saku"/>
- シーホーク (1977年 業務用)<ref name="saku"/>
- ダックハント (1977年 玩具)<ref name="saku"/>
- デッドライン (1978年 業務用)<ref name="saku"/>
- ファンシーボール (1978年 業務用)<ref name="saku"/>
- チリトリー (1979年 玩具)<ref name="saku"/>
- テンビリオン (1980年 玩具)<ref name="saku"/>
- ゲーム&ウオッチ (1980年 携帯型ゲーム機)
- ゲーム&ウオッチ・ワイドスクリーン(1981年 携帯ゲーム機)<ref name="saku"/>
- ゲーム&ウオッチ・マルチスクリーン (1982年 携帯ゲーム機)<ref name="saku"/>
- ゲーム&ウオッチ・カラースクリーン (1994年 携帯ゲーム機)<ref name="saku"/>
- ドンキーコング (1981年 アーケードゲーム)<ref name="saku"/>
- コンピューター麻雀 (1982年)<ref name="saku"/>
- ファミリーコンピュータ (1983年 ゲーム機)ハウジング及び十字キー<ref name="saku"/>
- ダックハント (1984年 ファミリーコンピュータ+光線銃)<ref name="saku"/>
- ワイルドガンマン (1984年 ファミリーコンピュータ+光線銃)<ref name="saku"/>
- ホーガンズアレイ (1984年 ファミリーコンピュータ+光線銃)<ref name="saku"/>
- マリオブラザーズ (1984年 アーケードゲーム)<ref name="saku"/>
- レッキングクルー (1984年 アーケードゲーム)<ref name="saku"/>
- バルーンファイト (1984年 アーケードゲーム)<ref name="saku"/>
- アーバンチャンピオン (1984年 ファミリーコンピュータ)<ref name="saku"/>
- ファミリーコンピュータ ロボット (1985年7月26日 ファミリーコンピュータ周辺機器)
- ブロック (1985年 ファミリーコンビュータ+ロボット)<ref name="saku"/>
- ジャイロ (1985年 ファミリーコンピュータ+ロボット)<ref name="saku"/>
- メトロイドシリーズ
- メトロイド (1986年8月6日 ファミリーコンピュータ) プロデューサー
- メトロイドII RETURN OF SAMUS (1992年1月21日 ゲームボーイ) プロデューサー
- スーパーメトロイド (1994年3月19日 スーパーファミコン) ゼネラルマネージャー
- 光神話 パルテナの鏡 (1986年12月19日 ファミリーコンピュータ) プロデューサー<ref>Nintendo Entertainment System版のエンディングスタッフロールに「G・Yokoi」と記載。</ref>
- ガムシュー (1987年 アーケードゲーム)<ref name="saku"/>
- 中山美穂のトキメキハイスクール (1987年 ファミリーコンピュータ)<ref name="saku"/>
- ファミコン探偵倶楽部シリーズ
- ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者 (前編1988年4月27日 後編1988年6月14日 ファミリーコンピュータ) プロデューサー
- ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女 (前編1989年5月23日 後編1989年6月30日 ファミリーコンピュータ) プロデューサー
- ファミコンウォーズ (1988年 ファミリーコンピュータ)
- ファイアーエムブレムシリーズ
- ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣 (1990年4月20日 ファミリーコンピュータ) プロデューサー
- ファイアーエムブレム外伝 (1992年3月14日 ファミリーコンピュータ) プロデューサー
- ファイアーエムブレム 紋章の謎 (1994年1月21日 スーパーファミコン) プロデューサー
- ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 (1996年5月14日 スーパーファミコン) プロデューサー
- Dr.マリオ (1990年7月27日 ファミリーコンピュータ) プロデューサー
- ヨッシーのたまご (1991年 ファミリーコンピュータ)
- ヨッシーのクッキー (1992年11月21日 ファミリーコンピュータ ゲームボーイ) プロデューサー
- マリオペイント (1992年 スーパーファミコン+マウス) プロデューサー<ref name="saku"/>
- スーパースコープ6 (1993年 スーパーファミコン+バズーカ)<ref name="saku"/>
- ヨッシーのロードハンティング (1993年 スーパーファミコン+バズーカ) プロデューサー<ref name="saku"/>
- マリオとワリオ (1993年 スーパーファミコン+マウス) プロデューサー<ref name="saku"/>
- テトリスフラッシュ (1994年 スーパーファミコン)<ref name="saku"/>
- バーチャルボーイ (1995年 ゲーム機)<ref name="saku"/>
- パネルでポン (1995年10月27日 スーパーファミコン) プロデューサー
- カービィのブロックボール (1995年12月14日 ゲームボーイ) プロデューサー (宮本茂と共同)
- ゲームボーイポケット (1996年 ゲーム機)※任天堂所属においての最後の作品<ref name="saku"/>
- くねっくねっちょ (1997年 携帯ゲーム機)<ref name="saku"/>