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しかし、この基本構成はもともと大都市近郊の事情に合わせたものであり、電車運転線区の拡大に伴い実情に合わなくなってくるケースが見られ、概ね1970年代末頃からはそれまでの全国一律の統一的仕様ではなく、基本的な設計思想は引き継ぎながらも使用地域の輸送事情に適合させる例が登場する。
1967年に登場した711系電車では、北海道の苛酷な気象条件を考慮し、近郊形電車ながら前後2扉、デッキ付きで座席は戸袋部分を除きクロスシートとなった。しかしこれは特殊な例であり、他地域ではこれ以降も引き続き113系・115系や415系などの標準仕様車両が投入されている。
1978年に製造された417系電車では、地方都市での普通列車に使用される前提で両開き2扉セミクロスシートという構造が採用された。これは地方都市で用いられていた一般形気動車に準じた接客設備であり、地方都市向け近郊形電車の標準形として確立し、その後に製造された713系・413系・717系電車にも受け継がれたが、その後は国鉄財政事情の悪化が進み、地方都市向け電車の多くを特急・急行形電車の改造・転用で賄うこととなったため、結果的にこの仕様の車両は少数の製造にとどまっている(次項「」を参照)。
並行私鉄との激しい競争にさらされていた関西地区では、1979年に新快速用として117系電車が投入された。この車両は、並行私鉄の特急車両が転換クロスシート装備であり、それまで新快速に使用されていた153系電車のボックスシートでは見劣りがするため、2扉車体に転換クロスシートを装備した仕様を採用したもので、ロングシートは全くなかった。
一方、関東地区では、郊外の住宅地の拡大により増え続ける乗客を捌くため、1982年には415系電車に普通車すべての座席をロングシートとした車両が製造された。また、1985年には415系電車で、セミクロスシートの車端部をロングシートとした車両も登場している。この仕様は、国鉄分割民営化を視野に入れた新型車両である211系電車でも採用された。
このほか、1982年には使用線区を飯田線に特化し、同線の事情に合わせて設計された119系電車が、四国島内の電化が実施された1986年には四国島内向けの121系電車が、瀬戸大橋線開業が間近となった1987年には同線向けに117系に準じた2扉車体・全席転換クロスシートの213系電車が、それぞれ製造されている。