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帝位継承の際に元老院に対し深く協力を求め、官職選挙の場を市民集会から元老院に移す(選挙の費用や手間が大きく軽減する)等の施策を取った。しかし元老院主導体制打倒を目指したカエサル、元老院の顔を立てつつも権力の要所を目立たないように掌握していったアウグストゥスとは違い、真実元老院への統治の一翼を担う期待を寄せていだけに目の前の議員の体たらくに絶望し、後年カプリ島に引き籠ることになる。
継承早々にドナウ川、ライン川防衛線での反乱が起きる。反乱といっても待遇改善を求めてのストライキであった。当時退役金の不足から兵役満期となっても除隊出来ない事態もあったからだ。この対処にドナウは実子小ドルスス、ラインは養子ゲルマニクスを任じ、同士討ちの惨事も起こったものの鎮静に成功する。そして要求のうち兵役期間短縮と給金値上げは拒否しつつも、満期除隊は厳守に努め実行させた。ティベリウスは、法の公正な施行こそ統治の信頼を生むとして、その実行に努めた。殊に属州総督の不正に関する裁判への臨席は非常に熱心だった。
放って置けば際限なく拡大する国家財政を、増税することなく健全に保とうとしたために、皇帝主催の戦車競技会を中止する等の財政引き締め政策を断行した。そのためローマ市民、元老院の人気は低かった。登極当初より、人気取り政策には見向きもしなかった。何よりも帝国全体のための施政を心掛けたために、お膝元での不人気を甘受していたのであろう。公共事業は首都ではアウグストゥスが非常に多く興したこともあり、メンテナンス以外は最低限に抑えたのに対し属州、特にドナウ防衛線を控えるパンノニアでは多くのインフラ整備を行っている。緊縮財政とはいっても、必要と判断した出費はきっちりと出していたのである。
アウグストゥスの時代から28年にわたり戦役を続行していたゲルマニアに対しては、エルベ川進出に見切りを付けてライン川およびドナウ川において防衛線を確立した。また、同時期に東方で不穏な動きを見せていたパルティアに対しては、ゲルマニア戦線の総司令官だったゲルマニクスを派遣して、東方問題の原因となっていたアルメニアの王位継承問題を解決し、東方の安全保障を確立した。更に盗賊の取締りなど国内治安にも力を注いだ。これらの施策により、帝国の防衛と治安は確固たるものとなり、それによってローマ帝国という広域経済圏は更なる発展を遂げる。
このゲルマニクスの東方派遣の間、ゲルマニクスとシリア属州総督グナエウス・カルプルニウス・ピソとの仲が険悪化する。そしてゲルマニクスは東方で(おそらくマラリアによって)急死し、彼自身も含めピソの毒殺説が広く信じられた。ティベリウスは厳正な裁判を実施させピソは有罪必至とみて自殺、死後の処分も穏健に済ませた。ゲルマニクスの妻大アグリッピナはティベリウスを殺害の黒幕と信じて憎悪し、後年流罪とされる。