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カーペンターズの音楽を特徴的なものにした要素の1つは、カレンの用いた低い音域の声である。ジャズやカントリー・ミュージックの分野には見られたが、当時のポピュラー音楽の世界にアルト歌手はほとんど存在しなかった。しかし、カレンはおよそ3オクターヴにわたる広い声域をもっていたのである<ref name="fansask" />。リチャードの声もカレンの歌声と非常に相補的なものだと評価されていた。カレンは高い音域の声も出すことはできたが、低音(カレンは自分の "basement" と呼んでいた)ほど特質のあるものではなかった<ref name="fansask" />。リチャードはカーペンターズのオフィシャル・サイトのファンからの質問のページで、カレンと自分は彼女の「胸声」に魔法のようなものを感じており、音の豊かさという点では比較にならなかったため、彼女の高音を強調するつもりはまったくなかったと述べている<ref name="fansask"></ref>。
カレンの「魔法」が低音域にあったため、リチャードはカヴァー曲はもちろん自作曲もカレンにふさわしいキーで編曲しなおした。カーペンターズの曲の多くはD(「ユー」「見つめあう恋」)、E(「イエスタデイ・ワンス・モア」)、G(「恋よさようなら」「リーズン・トゥ・ビリーヴ」「ふたりの誓い」「ユール・ラヴ・ミー」)などのキーを用いている。カレンはこれらDからGまで、場合によってはA、B、Cも用いているが、こうした芸当のできる歌手は多くないことから、カレンの声域の広さはよく知られている。
歌手であると同時にドラマーでもあったカレンは、1974年まではしばしばドラムも演奏していた。リチャードによれば、カレンは自分を「歌えるドラマー」だと考えていた<ref name="mpi" />。5フィート4インチ(163センチメートル)しかなかったカレンは、ライヴでドラムを演奏するとキットの陰に隠れてよく見えなかった。やむをえず2人は、バラードの時にはカレンが立ち上がって歌い、それ以外のあまり有名でない曲の時には座るという妥協案を見出した。年が経つにつれ、カレンがドラムを演奏している時にも彼女のヴォーカルを求める声が高まるようになり、カレンがドラムの前に座る時間は徐々に減っていった。1976年のアルバム『見つめあう恋』のころには、カレンはまったくドラムを叩かなくなっていた<ref name="akindofhush">Carpenter, Richard (1976). Album notes for A Kind of Hush by The Carpenters. A&M Records. A Kind of Hush at MusicBrainz.</ref>。
カーペンターズの音楽は、そのアレンジの見事さによって高く評価されている。アレンジは大抵リチャードが担当し、その手腕は広く賞賛された。アレンジの大半はクラシックのスタイルで、多くの弦楽器や、ときには金管楽器や木管楽器も用いた(「星空に愛を(コーリング・オキュパンツ)」では、160人以上の歌手と演奏家を迎えている<ref name="webbio"/>)。著名な音楽評論家のダニエル・レビティンは "Electronic Musician" 誌において「リチャード・カーペンターこそ、ポップ・ミュージック界で最も才能あるアレンジャーの1人である」と述べている<ref name="levitin"></ref>。