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現代社会においては、特定の宗教を奉ずる宗教国家もしくは共産主義国などの無神論国家などが、特定の宗教的信条を擁護し、他を迫害してきたこと、それにより宗教を理由とした戦争も起こったことなどを踏まえ、先進諸国の多くで信教の自由が承認されている。国際人権宣言などでも、信教の自由は国家が人間に保障するべき最重要の権利のひとつとして位置づけられている。
しかしイスラーム法(シャリーア)はこのようなコンセンサスが出来上がる以前、いまだに宗教的エスノセントリズムが常識であった時代の法体系である。そのためシャリーアにはムスリムに対しイスラームの絶対的優越に基づく統治を促し、その領域内の異教徒や無神論者をムスリムの下に置くことを義務付ける部分が存在している。彼らはズィンミーとして一定の権利保障を得るが、イスラームに改宗しないかぎりさまざまな差別を受け、宗教的実践にも一定の制限がついていた。また、ムスリムがイスラームを離脱することは背教罪として死刑となるのが原則だった。(ハナフィー学派のみ他国への追放という別解釈)
そのためイスラーム法に基づく国家体制は必然的に、現代国際社会において要求される完全なる信教の自由と平等という原則と衝突することになる。
ただし、例外的な事例として、前近代イスラーム世界においては、インドのムガール帝国に一時期見られたように、異教徒に対して積極的な寛容策がとられた事例が知られている。
現代のイスラーム教徒多数派の国の中には、世俗主義を信奉しシャリーア法を廃止または制限して伝統的なイスラム勢力と対立関係、あるいは内戦状態にある国、(トルコ、アルバニア、アルジェリア、シリア、インドネシア等)から、イスラーム法を適用し、異教徒を従属的な地位に置く国(パキスタン、アフガニスタンなど)、更には支配者の定めるイスラームの宗派以外は、イスラーム教の他宗派も含めてその信仰を認めない国(サウディアラビア)まで存在している。
一般的に言って、イスラム教が優勢な社会でも多民族国家の場合は異教徒に対しては比較的穏健・寛容な政策がとられることが多い。多民族国家では、必然的に宗教も多様となり、相互の信仰を認め合い、批判を控えるような態度をとらなければ、それは内乱などの社会不安の原因となってしまうからである。例えば、世界最大のイスラム国家であるインドネシアでは、「建国五原則」の中でイスラーム以外の宗教を尊重することを掲げており、イスラム教のみならず、仏教・キリスト教・ヒンドゥー教を公認している。これには、インドネシアの民族・宗教の多様性が深く影響している。
他宗教に対してはその時代や地域によって様々な政策がとられていて、寛容な社会も存在するにも関わらず、厳格で偏狭な国や地域ばかりを取り上げて、イスラム教は信仰の自由を認めないなどとする言説には問題があると言える。