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ミサイル防衛任務には、元来イージス・システムが目的としてきた対航空機任務とは異なるリソース配分が必要とされる。イージスBMDシステムの主たる目的は、2008年12月時点では、弾道ミサイルの中間飛行局面(ミッドフェイズ・宇宙空間での弾道飛行)での破壊にあるが、現用のSM-2ミサイルはこの種の攻撃には不適であり、このため、新たにミサイル迎撃専用としてhit-to-kill方式を採用したスタンダードミサイル SM-3が開発されている。
また、ミサイルを迎撃するためには、何らかの形で目標を探知・追尾する必要があるが、大気圏外を飛行する弾道ミサイルを追尾するためには、イージス・システム全体にも改修が必要となる。
BMD任務において、イージスBMD艦は、弾道ミサイル発射を知らせる早期警戒情報を受けて、通報された方向を中心に、特定の範囲にレーダーの能力を集中させて、濃密な走査を実施する。航空機を目標としたとき、AN/SPY-1レーダーの最大探知距離は500km程度とされているが、これにより、SM-3連携レーダーとしては、1000km以上の最大探知距離を実現するともされている。<ref>能勢(2008)において、Jane's Strategic Weapon Systems Issue 47によるとの記述。</ref> なお、1998年に北朝鮮がテポドン1号を発射した際、海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」がこれを追尾したことが知られているが、この際に使用されたのは、AN/SPY-1レーダーが元から備えていたNTDCプログラム (Non-Tactical Data Collection)であった。イージスBMDにおいては、弾道ミサイルの追尾に使用する専用のプログラムが開発されている上、より精緻な追尾を可能にする発展型プロセッサも組み込まれている。
SPY-1レーダーが目標を捕捉・追尾して諸元を得ると、その情報は指揮決定システム(C&D)や武器管制システム(WCS)に入力され、SM-3の発射に必要な計算が開始される。このとき、膨大な情報を処理するため、イージスBMD 3.6においては、C&Dに補助コンピュータが追加されている。
また、スタンダードSM-3ミサイルの運用に対応するため、MK 41発射機にも改修が加えられており、発射時の圧力に耐えられるように強化され、また、データ転送用の光ファイバー回線も追加された。
これらの改修はスパイラル開発のコンセプトに基づいて、ベースラインとはまた異なるロード・マップに基づいて、ミサイル防衛能力の向上が進められている。
まず、イージスBMDの初期配備体系たるブロック2004の初期段階として、先行して長距離捜索・追尾 (LRS&T)能力のみを保有するイージスBMD3.0Eが開発されて、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の11隻に配備された。コンピュータ・プログラムの改良によって、レーダー・エネルギーを集中させて弾道ミサイルを追尾することができるようになったほか、IBSに接続するための端末であるJTTが搭載された。
またその一方、遅くとも2005年には、BMD3.0Eに加えて応急的に迎撃能力を付与したイージスBMD3.0が開発され、タイコンデロガ級巡洋艦のレイク・エリーやポート・ロイヤルに搭載されていた。これは、この時点で実戦配備に至っていなかったSM-3ブロックIの運用能力を持たせたものである。このうち、少なくともレイク・エリーにはさらに改修が加えられ、2006年6月に行われたステラー・プレデター演習の際には、精密な目標識別を可能にする新型プロセッサであるBSPを組み込んだイージスBMD3.0.1.2仕様にヴァージョン・アップされていた。
その後、ブロック2004の最終体系として、改良型のRIM-161B SM-3ブロックIAの運用能力を付加するなどしたイージスBMD3.6が開発されており、タイコンデロガ級巡洋艦のシャイローやレイク・エリー、ポート・ロイヤルに搭載されたほか、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦のミリアス、ステザム、カーティス・ウィルバーなどに搭載されるなど、実戦配備が進められている。スタンダードSM-3を効率的に運用するため、発射直前まで精確なGPSデータを算出するシステム(VGI)が導入されている。これにより、発射時の座標は、個々のミサイル・セルの単位で直前まで正確に計算され、入力される。
また、イージスBMD3.6の日本版として、イージスBMD3.6JまたはJB1.0と呼ばれるものが開発されて、こんごう型護衛艦に搭載されつつある。イージスBMD3.6において、早期警戒情報などを受信するのはIBS/JTTであるが、IBSは米軍の基幹的な指揮回線であるため、JB1.0においては、UHF-SATCOMを使ってリンク16 (TADIL J)の情報を送受信するS-TADIL Jが使用される。