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「犯罪被害者の権利確立」「被害回復制度の確立」「被害者の支援」を訴える全国犯罪被害者の会の活動や、光市母子殺害事件といったマスメディアを席巻した凶悪事件を契機として、犯罪被害者や家族ないし遺族への心理的ケアの問題が以前にもましてクローズアップされている。そのため世論の犯罪者に対する動向が厳罰化への傾向が強まっているとされている。特に1990年代の日本において凶悪事件が続発したため、死刑存置派が「被害者感情」を前面に主張したことも厳罰化の一因がある。
この流れを受け、検察は1997年から1998年にかけて「裁判所の量刑は軽すぎ国民感情とかけ離れている」と批判し、検察側の死刑求刑に対し2審の高等裁判所が無期懲役を宣告した5事件を最高裁に上告した。最高裁は5事件のうち4事件については、検察の上告を棄却したが、1992年に広島県福山市で発生した、友人と共謀し87歳の女性を殺害し、奪った貯金通帳で現金を引き出した仮釈放中の無期懲役受刑者による強盗殺人事件について「別の強盗殺人罪で仮釈放中に再び強盗殺人を犯したケースは死刑が相当」と最高裁は1999年12月10日に2審判決を破棄し広島高等裁判所に審議を差し戻した<ref>野村二郎『日本の裁判史を読む事典』自由国民社、2004年 235~236頁 </ref>。最高裁が2審の無期懲役判決を「軽い」として破棄したのは永山事件以来2人目の事であった。そのため、仮釈放中の殺人犯が再び殺人をした場合には死刑が宣告される最高裁判例が確定した。なおこの被告人であるが、差し戻し審で死刑判決を受け、最高裁が2007年4月に上告を棄却したため死刑囚となった。
刑罰自体も懲役刑の最高有期年数が20年から30年に引き上げられたほか、交通事故に対する刑罰の厳罰化が図られたが、従来よりも死刑ないし無期懲役の判決が宣告される刑事被告人も急増することになった。この傾向は近年顕著になっている。この流れは1970年代からアメリカ合衆国で始まった「犯罪者の治療よりも隔離を」と主張する「正義モデル」と呼ばれるモデルを日本の司法当局が取り入れたためである。このモデルでは犯罪者を無害化するのは不可能であり刑務所に長期間拘禁すべきである、また究極的無害化の策は生命体としての存在を除去する、死刑である<ref>「アメリカの刑事司法」有信堂高文社</ref>。日本においても1980年代ごろまで見られた温情主義的な判決はなくなり、たとえ犠牲者が出なかったとしても無期懲役<ref>たとえば2002年1月17日に宇都宮裁判所は連続強盗強姦事件の48歳の被告人を無期懲役判決を下している。強姦の被害者は3人で、従来なら有期刑の可能性もある事例であった</ref>判決が出される場合もある。
2006年に日本で言い渡された死刑判決は44件(控訴棄却決定により確定した麻原彰晃こと松本智津夫を含めると45件)と、裁判所別の統計があり、1979年(昭和54年)以降では過去最多となった。死刑が確定した人数は20人(麻原を含めると21人)で、これも1964年以来42年ぶりに20人台となった。この数字は戦後1審で最も死刑判決が多かった1948年の116人(殺人罪54人、強盗致死52人、尊属殺人罪6人、婦女暴行4人)であるのと比較すると多くはないが1970年代は1審で死刑判決が少なく、1975年に4人しか死刑判決を受けていないことを比較すると、厳罰化傾向は明らかである。
近年の形式</ref>。そのため、必ずしも「犯罪者が20世紀末に比べ激増している」との認識は妥当なものであるとはいえないが、犯罪に対する抑止効果として厳罰化が求められた結果が現状であるといえる。
「従来の量刑基準なら2006年12月30日。</ref>。
日本弁護士連合会によると、1983年の永山事件判決以降、被害者1人で死刑が確定した被告は26人。身代金目的誘拐や仮釈放中の事件が大半を占め、死刑にしないケースが主流だった。しかし、2008年5月に出された長崎市長射殺事件長崎地裁判決では被害者1人でも死刑判決が出された。また、2009年3月に出された闇サイト殺人事件名古屋地裁判決では、被告人3人のうち、2人に死刑判決を出された。この事件では被害者遺族が3人の死刑を求める署名を行い、31万5876人の賛同を得たと陳述した。弁護人は「被害感情を刺激する恐れがある」と考え、何も言えなかった<ref>『毎日新聞』2009年3月16日号夕刊名古屋版 曲がり角で:18日・闇サイト殺人判決/下 被告の父も「極刑妥当」</ref>。
2009年から導入予定の裁判員制度では、日本が世界で唯一の参審制裁判で国民が死刑を選択できる国<ref>日本と同じ裁判員制度を導入している韓国も死刑存置国であるが、死刑が10年以上凍結されている</ref>であるため、凶悪事件、特に死刑を適用できる事案に対する厳罰化感情が無視できない影響を与えるとの指摘がある。その一方で被害者感情に応える為とはいえ、近代刑罰がいさめる応報的な復讐を国家が率先して行うようになっているとの批判もまた存在する。また同様に死刑制度を初めとする厳罰主義を採っているアメリカ合衆国が社会条件が日本と大きくかけ離れているとはいえ、凶悪犯罪の撲滅に必ずしも成功していない事実もある。