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外洋では津波の波高は数十センチメートルから 2 - 3 メートル程度であり、波長は 100 キロメートルを越えるので、海面の変化はきわめて小さく、沖合いにいる船などは津波に気付かず、沿岸や港に来て初めて被害の大きいのを知る場合が昔はよくあった。「津波」の名もここに由来するものである。津波が陸地に接近して水深が浅くなると速度が落ちて波長が短くなるため、波高は大きくなるが、通常は、単に水深が小さくなっただけでは極端に大きな波にはならない。リアス式海岸のような複雑に入り組んだ地形の所では、局地的に非常に高い波が起きる事がある。津波の波高は水深の 4 乗根と水路幅の 2 乗根に反比例するので、仮に水深 160 メートル、幅 900 メートルの湾口に高さ 1 メートルの津波が押し寄せ、湾内の水深 10 メートル、幅 100 メートルの所に達した場合、波高は水深の減少で 2 倍、水路幅の減少で 3 倍になるため、総合すると波高は 6 メートルになる。それで、V 字型に開いた湾の奥では大きな波高になりやすい。
しかし、一般には検潮儀で津波を記録するようになっているものの、巨大津波そのものの波高を正確に測定する事は困難であり、これまでの大津波の波高とされる記録は、実際には波の到達高度で示されている。これは、陸に押し寄せた津波が海抜高度何メートルの高さまで達したかという数字で、現場の調査によって正確に決定できる利点がある。V 字型の湾など、地形によっては波自体が高くなると共に非常に高い所に駆け上がる事がしばしばあり、到達高度は波の実高度より高くなる場合が多い。日本において確実とされる津波の最大波高は 1896年の明治三陸沖地震津波の際の 38.2 メートルであるが、これは V 字型の湾の奥にあった海抜 38.2 メートルの峠を津波が乗り越えたという事実に基づく到達高度の値である。
1958年7月9日(現地時間)、アラスカの南端の太平洋岸にあるリツヤ湾 (Lituya bay) で岩石の崩落による津波が起き、最大到達高度は海抜 520 メートルに達し、津波の波高の世界記録とされている。リツヤ湾は氷河の侵食によるフィヨルドで、幅 3 キロメートル、奥行き 11 キロメートル程の長方形に近い形で内陸に入り込んでいる。湾奥に左右に分かれた小さな入江があり、問題の津波はそのうちの北側の入江に発生したものである。波の発生を直接目撃した者はいないが、後の現地調査と模型実験により詳細が明らかにされている。地震により入江の片側のおよそ 40 度の傾斜の斜面が崩壊、9,000 万トンと推定される岩石が一塊になって海面に落ちたため、実高度 150 メートル以上の水しぶきが上がり、対岸の斜面を水膜状になって駆け上がって 520 メートルの高度に達したものである。その後、波は高さ 15 - 30 メートルで湾奥から湾口に進み、太平洋に出ると共に急速に消滅した。以上のように、この波は津波と言うより水跳ねに近いもので、英文の報告書でも "giant wave" または "biggest splash" と表現されている。なお、リツヤ湾では 1853年か 54年に 120 メートル、1936年に 147 メートルの大波(いずれも到達高度)が起こったことも明らかになっている。