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生命の単位は細胞であると言われる。つまり、代謝・遺伝現象などの生命現象をあらわす最小の単位は細胞だというのである。
それと同様に、個体は生物の単位とも言える。我々が自然界で見かける具体的な生物は、個体としてその姿を現す。生物個体は、それぞれ独立にその生命を維持する。外部との物質のやり取りすなわち摂食、吸収、呼吸、代謝、排泄ないし排出を行い、外部からの刺激に対して主体的に反応し、それ自身で、あるいは他個体とのかかわりの中で子孫を作る、すなわち生殖を行う。
また、個体はその内部での活動が、個体全体としての活動を支えるべく、統一を取る仕組みや、内部環境を安定させるための、つまり恒常性を維持するための仕組みを備え、それによってまとまった一個体としての活動を行う。
生物個体は、その種に特徴的な形態と構造、生化学的および遺伝的な特性を持つ。その生物の生存と繁殖に最低必要な一連の器官を備え、あるいはそれを形成する能力を持つ。また、その種ごとに決まった形で生まれ、決まった形で発生の過程を経て、決まった形の成体となり、老化して死亡する。同じ種に属する生物個体において、これらの特徴には基本的に完全に一致するもの(例えば、動物の感覚器や手指の数など)と、ある程度のばらつきの範囲に分布するもの(体長や体重など)があり、後者に見られる個体ごとの差異は個体差と呼ばれる。生物の分類に際しては、新種記載の際には特定の個体をもってその種を代表させ、それに基づいて記載を行う。この対象となる個体のことをタイプ標本として保存し、分類群の基準とする。
ただし、どのような生物においても、個体が明確に定義できるかと言えば、大いに問題がある。身近なもので考えても、動物の個体は分かりやすいが、植物のそれは難しい。そのような観点から、個体を改めて定義しようとすれば、様々な困難な点が明らかになる。また、分類群によっても、そのあり方は大きく異なる。